8月 22 2014
生前の相続放棄・遺産分割 遺留分の放棄 ①
最近の遺産相続の相談や案件で特徴的なのは、
「多額の借金を抱えて行方がわからない父がいるので、父の生前に相続放棄をしておきたい。」
「相続人となる予定の者の間で合意ができたので、生前に遺産分割をしておきたい。」
というものです。
来年に相続税の増税が予定されていることもあって、最近、マスコミなどで「相続対策」をよく目にします。
そのため、「両親の生前に、相続放棄・遺産分割をしよう」という思いから、さきほどのような相談や案件が増えているのではないかと思います。
では、生前に相続放棄や遺産分割はできるのでしょうか?
また、遺留分を生前に放棄することはできるのでしょうか?
①相続放棄
さきほどのように「多額の借金を抱えて行方がわからない父がいるので、父の生前に相続放棄をしておきたい」、という相談は以前から多くありました。
また「両親と縁を切ったので、両親の生前に相続放棄をしておきたい」という趣旨の相談も多くありました。
ですが、生前に相続放棄はできません。
多数の判例も同じ結論を出しています。
そうすると、「父が知らないうちに借金を抱えて亡くなってしまうと、私が知らないうちに借金を相続することになって困ります、、」という心配をされる方がいらっしゃいます。
けれども、民法915条第1項は「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に」相続放棄をしなければならないと定めています。
ですので、「父が知らないうちに借金を抱えて亡くなった」としても、債権者から連絡があったなど、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に相続放棄を行えば父の借金を相続することはありません。
②遺産分割
父の生前と長男、二男の三人で話し合い、父の死後、父の財産の分割方法や実家の管理方法等について覚書や合意書を作成することがあります。
父・長男・二男の三人は、「父が生きているうちに相続人である長男・二男も含めて、父の遺産分割について取り決めておこう」という思いから、このような覚書や合意書が作成されることが多いです。
ですが、生前に遺産分割はできません。
この点は、判例は多くありません。
最近の判例としては、平成15年3月6日東京地裁判決や平成17年12月15日東京地裁判決は、生前の遺産分割には効力がないという判断をしています。
平成17年12月15日東京地裁判決は、以下のように判示しました。
「遺産分割は,共同相続した遺産を各相続人に分割する手続であって,遺産及び相続人の範囲は,相続の開始によって初めて確定するものであり,相続開始後における各相続人の合意によって成立した協議でなければ効力を生じないものと解すべきである。民法909条は,遺産分割協議の遡及効を定めるが,これは相続開始後に遺産分割協議が行われることを前提にしたものであり,また,相続放棄が相続の開始時点における相続人の真意に基づいてなされるべきである(一定期間に家庭裁判所に申述する必要がある。民法915条1項。)のと同様,相続開始前の処分行為は無効だからである。このことは,遺留分の放棄についてのみ,家庭裁判所の許可を要件として有効とする規定(同法1043条1項)の存することからも明らかである」
では、さきほどの父・長男・二男の三人の例において、どのような解決策があるのでしょうか?
それは、遺言と遺留分放棄の組み合わせ、という方法です。
次回のブログにて紹介したいと思います。









