• 相続・遺言の初回相談 30分無料
  • 相談のご予約は052-961-7102
  • 予約受付:平日AM9時?PM6時

※相談日時に限りがございます
  • 相談受付メール
HOME » 相続・遺言ブログ

相続・遺言ブログ

2014年7月

7月 15 2014

遺産相続と寄与分  ①寄与の類型

遺産相続の事案において、介護と寄与分が大きな問題となるケースが増えています。

 

たとえば、

父、長男、次男という家族において、父の事業を長男が長年にわたって手伝い、父が年老いた後は長男とその妻が介護も行った、他方、次男は別で生活しており、介護の手伝いを行ったこともない、という事案が典型的です。

 

このケースで、父が亡くなり(遺言書なし)、長男と次男が父の財産を相続する場合、本来、法定相続分は、長男・次男は1対1です。

しかし、長男としては「自分が事業を手伝った貢献や、妻と一緒に行った介護を相続に反映させるべき」と考えるでしょう。

 

この点、民法904条の2は、

相続人すなわち長男の貢献、つまり寄与行為が

①父の事業に関する労務の提供

②父の事業に関する財産上の給付

③父の療養看護

④その他

などによってなされた、特別の寄与であって、

父の財産の維持・増加がもたらされた場合に、寄与分を認めて長男の相続分を増やすと規定しています。

 

ポイント1として、相続人の寄与行為であって、それ以外の者(たとえば、長男の妻)による寄与行為は、寄与分として認定されません。

 

次に、寄与行為は①~④に分類されますが、

ポイント2として、これらの寄与行為が、特別の寄与であって、かつ、父の財産の維持・増加がもたらされる必要があります。

 

そして、①~④の寄与行為によって、父の財産の維持・増加がもたらされたかどうかは、最終的には裁判所の認定によりますが、「証拠」が決め手になります。

そのため、寄与分が非常に重要なケースでは、早めの対策をお勧めしています(早急に証拠を固める、など)。

 

ご不明な点などございましたら、ご相談頂ければと思います。

 


7月 14 2014

遺産相続と株式

「会社の代表取締役であり、大株主でもある父が突然、死去しました。対立する弟が、株式の相続を主張しています。遺言はありません。どうすればいいでしょうか?」

 

このような、遺産相続と株式の問題は、とくに中小企業を経営されている方が死去された場合に表面化します。

 

たとえば、典型的なケースを例に、ご説明したいと思います。

登場人物:父、母、長男、次男

A株式会社(発行済み株式1000株) 取締役は父・母2名。

父:A社の代表取締役であり、800株を所有。

母:A社の専務取締役。A社の200株を所有。

長男:営業部長。

次男:経営方針や処遇を巡って父・長男と対立し、A社を退職。

 

このような状況下で、父が遺言を遺さずに、死去した場合、大きな問題が発生します。

 

それは、父が所有するA社の800株と代表取締役の地位です。

 

A社の800株は、法定相続分により、母が400株、長男200株、次男が200株を相続します。

ただし、遺産分割によって分割しなければ、800株を母・長男・次男が共有することになります。

そうすると、対立する次男が、遺産分割に関して自分の主張を曲げない、などの事情がある場合には、遺産分割の成立が長引く場合があります。

 

そのため、父の死去により、すばやく株主総会が長男を取締役に選任する必要がある場合には、800株を共有している次男との権利関係が問題となります。

 

会社法は、遺産分割未了の場合、株主として権利を行使する者を一人決めて、A社に通知しなさいと定めています。

そして、「権利行使者を一人決める」場合、多数決でよいと解釈されています。

したがって、母と長男が多数決により、権利行使者を長男と定めてA社に通知して、株主総会を招集し、株主総会にて長男を取締役に選任することになります。

 

以上のように、A社の代表取締役・大株主が死去すると、対立する相続人がいる場合、取締役が決まらないという、大きな問題が発生します。

 

そのためにも、事前に事業承継や相続が発生した場合に備えて遺言により株式の帰属を決めるなどの準備が重要、といえます。

 


7月 12 2014

遺産相続と生命保険 ③ 生命保険は特別受益か?

遺産相続と生命保険の第3弾。

最後は、遺産相続において生命保険があると、必ずと言っていいほど問題となる、「生命保険は特別受益にあたるか?」です。

 

遺産相続と生命保険①にてご説明した通り、生命保険は受取人固有の権利ですので、相続財産には含まれません。

ただし、民法903条の「特別受益」にあたるとして、持ち戻しの対象となる場合があります。

具体的なケースをもとに考えてみます。

 

登場人物:父、長男、次男。

ケース③

A保険契約者:父(保険会社と契約して、月々の保険金を払っている)

B被保険者 :父(保険の対象となっている=死亡した場合に、保険金がおりる)

C受 取 人:長男

保険金は4000万円

父には、預貯金として6000万円を有していたとします(遺言なし)。

 

父が死去すると、長男は、生命保険金4000万円を受け取ります(長男の固有の権利)。

 

そして、相続財産は6000万円ですから、法定相続分通りに長男が3000万・次男が3000万円を分割して遺産相続は終了、となるように思われます。

 

ただし、仮に、父が生前、長男に4000万円を渡していて、残余の預貯金が6000万円というケースと比べると、不公平とも思われるのです。

このケースですと、

相続財産6000万円

長男の特別受益4000万円を持ち戻し→6000万円+4000万円=1億÷2(法定相続分)=5000万円

 

→相続財産6000万円に対する長男の権利=1000万円

→相続財産6000万円に対する次男の権利=5000万円

 

このように、「父が生前に4000万円を長男に渡した」のか、「父の生命保険により長男が保険金4000万円を受領した」のかで結論が大きく異なることになります。

ただし、次男にとっては余りに不公平ではないか?ということで、生命保険金が特別受益にあたり持ち戻しの対象とならないかが争われてきました。

東京・大阪などの家庭裁判所で様々な判断がなされました。

平成16年に最高裁の決定により、ほぼ決着したと考えられます(平成16年10月29日決定民集58巻7号1979頁)。

「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。上記特段の事情については,保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率のほか,同居の有無,被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである。」

 

結論としては、原則は生命保険金は特別受益の持ち戻しの対象とならないが、例外として、特段の事情がある場合には、持ち戻しの対象となりうる、というものです。

今後は、特段の事情とは具体的に何か?という点について実務・判例の研究が進むものと思われます。

 

ご不明な点がございましたら、ご相談下さい。

 


7月 11 2014

遺産相続と生命保険 ②

昨日に続いて、遺産相続と生命保険についてです。

 

登場人物:父、母、長男、次男、三男。

ケース②

A保険契約者:長男(保険会社と契約して、月々の保険金を払っている)

B被保険者 :長男(保険の対象となっている=死亡した場合に、保険金がおりる)

C受 取 人:父

 

このケースで、父が死亡し、その後に長男が死亡した場合、どうなるでしょうか?

もちろん、父が死亡し、長男が生存中に受取人を変更すれば、変更された受取人が保険金を受け取ります。

 

問題は、長男が生存中に受取人を変更しなかった場合です。

 

この点は、保険法46条に規定があり、「その相続人の全員が保険金受取人となる」と定められています。

 

そうすると、ケース②では、受取人は、父の相続人である母(配偶者)と次男と三男の3人となります。

 

では、母と次男・三男は、保険金をいかなる割合で受け取ることができるでしょうか?

 

母 : 「法定相続分にしたがって、お父さんの配偶者である私は2分の1、次男と三男は4分の1ずつ!」

次男と三男 :「保険金請求権は、民法427条の分割債権の規定したがって、三人とも3分の1ずつ!」

 

いかがでしょうか?

判例は、民法427条により平等になる、すなわち母、次男・三男ともに3分の1ずつ、と判断していますので注意が必要です(最高裁判例 平成5年9月7日判決 民集47巻7-4740頁)。

 

ご不明な点がございましたら、ご相談下さい。

 


7月 10 2014

遺産相続と生命保険 ①

遺産相続の案件においては、多くのケースで「生命保険」が関係します。

また、実際に相談が多いのも、「生命保険」の扱いです。

 

典型的なケースを取り上げてみます。

登場人物:父、母、長男、次男。

ケース①

A保険契約者:父(保険会社と契約して、月々の保険金を払っている)

B被保険者 :父(保険の対象となっている=死亡した場合に、保険金がおりる)

C受 取 人:母(文字通り、被保険者が死亡した場合の保険金の受取人)

 

典型的なケースですが、父が死亡した場合、生命保険の保険金は遺産相続の対象となるでしょうか?

 

答えは、「ならない」です。

理由は、保険金請求権は、保険契約の効果として母が取得したのであって、父の相続財産ではないと考えられるからです。

 

意外と思われる方も多いかもしれません。

 

ただし、保険金請求権は相続財産ではありませんが、相続税を支払う場合にの評価については別問題です。

ご不明な点などございましたら、ご相談ください。

 


7月 09 2014

遺言・遺留分と特別受益

またまた特別受益についてです。

最近、本当に特別受益に関する相談や依頼が増えています。

遺言と遺留分、そして特別受益がどのように問題になるのか、具体的なケースをもとにご説明します。

 

<ケース>(実際の事案を簡略しております)

父:不動産A(時価5000万円)、有価証券(3000万円)を所有

相続人:長男・次男

 

父は、生前、跡継ぎと決めた長男に、不動産Aの上に賃貸マンションを建てることを提案。

長男は、ローンを組み、不動産Aの上に賃貸マンションを建築(不動産Aは、使用貸借として利用)。

父は、生前、次男に現金1000万円を渡していた。

父は、遺言を作成し、跡継ぎと決めた長男に全ての財産を相続させる旨を明記した。

父の死後、次男は、長男に対して遺留分減殺請求を請求した。

 

ざっと言うとこのようなケースです。

なお、遺留分の説明については本ホームページの「遺留分」のページをご参照ください。

Continue Reading »


7月 07 2014

両親の介護と寄与分

最近、このような相談が増えています。

 

「年老いた両親について、長男である自分と妻が、長い間、同居して面倒を看てきた。しかし、遠方に住んでいる次男は、一切面倒を看なかった。最近、父が死去したところ、次男が相続分は1:1だと言って、譲らない。私は、長い間、両親と同居して面倒を看てきたから、相続分は私の方が多いのではないか?」

 

本来、父が死去した場合、長男と次男とでは法定相続分は、平等です(相続人が長男と次男のみであれば、法定相続分は1:1)。

しかし、相続人間の公平を図るために、「寄与分」という制度があります。

寄与分とは、亡くなった方の財産の維持・増加に特別の貢献があった相続人に対しては、相続分を増加させることができるという制度です(民法第904条の2)。

 

「特別の貢献」とは、通常の家族間の相互扶助の域を超えた、特別の寄与行為です。

では、「両親と同居して面倒を看ていた」というのは、「特別の貢献」にあたるでしょうか?

 

通常であれば、「特別の貢献」にはあたりません。

なぜなら、同居して面倒を看る、というのは家族間の相互扶助の枠内とされるからです(家族であれば、同居して面倒看るのは特別ではない、と評価される)。

「面倒を看た」場合に、特別な貢献と評価されるのは、同居するだけでなく、私財を提供して面倒を看た場合です。

具体的には、医療費や介護費を自ら支出した、というケースです。

 

ただ、一般的な感覚からすると、「妻と共に長い間、同居して父の面倒を看てきた長男」と「一切面倒を看なかった次男」とでは、父が死去した時の相続分が1:1、というのはおかしいと思われるかもしれません。

 ましてや、同居して面倒を看ることの精神的・肉体的な負担は非常に重たいので、相続分において評価されないというのは、なにか割り切れない思いが残ることが多いです。

 

そのため、冒頭のケースでは、事前に遺言によって、父が、長男に対して、次男よりも優遇する内容の相続にすることが望ましいと言えます。

 


7月 05 2014

相続税対策(賃貸用建物の建築)と特別受益 ②

先日のケースで、どのようなことが問題になるでしょうか?

 

ケースを簡単にまとめますと、年老いた父が持っている土地に、長男が自分名義の賃貸用建物を建築する。父の相続人となるのは、長男と次男。父と長男の仲は良好だが、父・長男と次男との仲は、険悪。

 

このような相談が、最近増えています。

おそらく、相続税対策のために「賃貸用建物」を建築するという、手法がよく用いられるからだと思います。

ただ、実際には、父には、もっと資産や負債などがあったり、父・長男と次男との間には、複雑な問題が存在していたりしますので、あくまでもモデルケースとしてお考えください。

 

さきほどのケースで問題になるのは、「特別受益」です。

特別受益とは、共同相続人の中で、被相続人から遺贈を受けたり、贈与を受けた者がいた場合、相続の前渡しを受けたものとして、その者の相続分を減らす、という制度です。

 

特別受益を得た、となれば相続分が減るわけですから、相続の中で争いになることが非常に多いです。

 

さきほどのモデルケースでは、父が長男に土地を使用させること(長男は、父所有の土地に賃貸用建物を建築)が特別受益にあたると考えられます。

つまり、父が死去した後、長男と次男が相続で争った場合、長男が父から特別受益を受けているとして、相続分が減らされることになります。

 

ですので、モデルケースのような場合、事前に、特別受益に対する対処(持戻免除の意思表示など)が必要となります。

ご不明な点などがあれば、当事務所までご相談ください。


7月 01 2014

相続税対策(賃貸用建物の建築)と特別受益 ①

昨日の日本経済新聞(朝刊)の1面に、「賃貸住宅 建設が急増」「個人は相続増税に備え」という見出しがありました。

最近、「相続増税に備えて、マンション・アパート建築を!」といった記事や雑誌の特集をみかけることが多くなりました。

たしかに、「相続税対策」のためにはマンション・アパート建築という手段は有効なのかもしれません。

しかし、「相続人対策」という側面においては、有効なのでしょうか?

以下のような相談を受けることが多くあります。

「年老いた父が、古い建物のある広い土地を持っています。また、他にも父名義の預貯金もあります。父の相続人となるのは、長男の私と次男の弟。父と私は仲が良く問題無いのですが、父・私と弟は、以前から折り合いが悪いので、相続のときにモメるのではないかと頭を痛めています。とりあえず、父と協議して、相続税対策のために、古い建物を取り壊して、広い土地に新しく私名義の賃貸用アパートを建築することを計画しております。父が死去した場合、何か問題があるのでしょうか?」

このケースで、相続が開始しますと、長男(私)と次男(弟)が相続人となります。

遺言がない場合であれば、父名義の全財産を長男と次男が法定相続分(2分の1ずつ)で相続することになります。

問題は、「父名義の土地に建てられた長男名義の賃貸用アパート」の扱いです。

特別受益が問題となります(それ以外にも問題はありますが)。

明日以降、具体的な問題点について解説したいと思います。

 


  • 相続・遺言の初回相談 30分無料
  • 相談のご予約は052-961-7102
  • 予約受付:平日AM9時~PM6時※相談日時に限りがございます
  • 相談受付メール

このページのTOPへ

阪野公夫法律事務所

愛知県名古屋市中区丸の内3丁目6番41号
AMビル10階
TEL   052-961-7100
FAX   052-961-7117