7月 15 2014
遺産相続と寄与分 ①寄与の類型
遺産相続の事案において、介護と寄与分が大きな問題となるケースが増えています。
たとえば、
父、長男、次男という家族において、父の事業を長男が長年にわたって手伝い、父が年老いた後は長男とその妻が介護も行った、他方、次男は別で生活しており、介護の手伝いを行ったこともない、という事案が典型的です。
このケースで、父が亡くなり(遺言書なし)、長男と次男が父の財産を相続する場合、本来、法定相続分は、長男・次男は1対1です。
しかし、長男としては「自分が事業を手伝った貢献や、妻と一緒に行った介護を相続に反映させるべき」と考えるでしょう。
この点、民法904条の2は、
相続人すなわち長男の貢献、つまり寄与行為が
①父の事業に関する労務の提供
②父の事業に関する財産上の給付
③父の療養看護
④その他
などによってなされた、特別の寄与であって、
父の財産の維持・増加がもたらされた場合に、寄与分を認めて長男の相続分を増やすと規定しています。
ポイント1として、相続人の寄与行為であって、それ以外の者(たとえば、長男の妻)による寄与行為は、寄与分として認定されません。
次に、寄与行為は①~④に分類されますが、
ポイント2として、これらの寄与行為が、特別の寄与であって、かつ、父の財産の維持・増加がもたらされる必要があります。
そして、①~④の寄与行為によって、父の財産の維持・増加がもたらされたかどうかは、最終的には裁判所の認定によりますが、「証拠」が決め手になります。
そのため、寄与分が非常に重要なケースでは、早めの対策をお勧めしています(早急に証拠を固める、など)。
ご不明な点などございましたら、ご相談頂ければと思います。